インド人の手相

アムリトサルの黄金寺院

それは、3回目にインドにいったとき、確か、パキスタンに向かうべく、デリーからアムリトサルに向かう列車の中だった気がする。
そのインド人は、僕より少し年上くらい。小ぎれいな身なりをしたTシャツにGパンで、列車の中で同じボックスの中に座ってた。
どういう流れだったかなんて覚えていないのだけれど、揺れる列車の中で、そのインド人と、そこにいたターバンをしたシク教徒の子連れ家族と、僕とで色々と話をしてた。
内容はたわいの無い話、僕が日本から来たのだとか、その家族はアムリトサルに巡礼に行くのだとか、そう言う話をしていた気がする。
そんな会話の中で、そのインド人の男は、思いついたように「手相を見てやる」と、僕に言う。
そのインド人が僕の手を見ながら、僕に話した事


「・・・あなたは、立派なファシリティを手に入れる。
例えば、大きな家とか。

ずっと、ひとつの会社で働く。子どもは、、、一人。
つまり、普通の人生だよ」



そのインド人の手相の事は、今でも時々思い出す。
僕の手相を見ながら、僕に話すそのインド人の目が、何か悲しげ目で綺麗なだったことも忘れられない。
僕は、自分の人生が彼の言うようになるとは全然思わない。それだけに余計に思い出したりする。
それが、本当なのだとしたら、今から数年のうちに、多分、僕は死ぬんじゃないかな、なんて思ってる。

今、住んでいる家は借家だけれど、立地が悪い分、大きいと言える。
それを、「手に入れた」とするとすると、それ以外の事は、僕がもうしばらく生きているうちに、その通りじゃなくなると思うから。


占なんて信じないけど、暗示にかかってしまうことはよくある事。
そういう意味で、占って、案外当たったり、馬鹿に出来なかったりする。
この手相の話、あんまり人にしたことなかったんだけど、なんか久しぶりに思い出した。