パンタナールと水中の空想

マナウスらへん

誰もいないところへ行こう。
そう、トニナの森がいい。そして、そこからナナの映える水辺に行こう。バジスバジスの群れを見たら、もうそこは、楽しくて。
そしてね、アクセルロディーが僕に言うんだ。水溜りの中に見出せるものがあるって。水溜りの中で王様になれないなら、広い海に出ても同じだよって。
そして、リシアの草原で寝転ぶんだ。カカトォイデスが、子どもを連れてやってくるから。かわいいんだよ。君にも見せたいんだ。 ねえ、いま、君は何をしてるの?
そうして僕はまた、雨季のパンタナールの草原で馬に乗るんだ。カラシンの群れを追いかけながら走るんだ。そう、2匹の犬が僕に着いて来る。空は青くてね、タテガミが揺れるんだよ。気持ちいいんだ。それでね、アンテアターの群れを見に行くんだ。ネロリ牛の白い塊の向こうまで行くのさ。国境を目指してね。リオを目指して行くのさ。夜を走りぬけるバスに乗ってね。
君に会いに行くよ。そう、君に会いに行くのさ。待ち焦がれのこの水辺で。空の青さに身をまかせながら。