リリイ

穂高のユリ

僕の想像の中の話。
新築の新しくできた住宅地のなかの一軒家。都市部からは電車で1時間くらい。最寄り駅までは徒歩で15分。おしゃれな尖った黒い屋根の家。小さな駐車場には、赤いAクラスのメルセデス。結婚して、2年目くらい。旦那さんは、どこにでもいるようなまじめそうな眼鏡をかけた人で、奥さんはきれいと言うよりはかわいらしい人。新しく作ったウッドデッキは、旦那さんのお気に入りで、雨が降った後はいつもきれいに拭いてた。奥さんはそれを笑いながら携帯で写真を撮ってた。別に、特別さなんてどこにも感じない、少しだけおしゃれで幸せな感じ。


そういう感じを思い浮かべるときに、なんだか頭に思い浮かぶから、幸せそうな想像ばかりが頭の中に思い浮かぶから、僕はそいつが死刑になればいいと思う。別に誰一人、そこに、僕の思い入れのある人がいるわけでも無いのだけれど。明日からの裁判は、死刑が出ればいいなって思う。

僕自身、身の回りの人は、自分に危害を加える人意外は、ほとんど嫌いにならないのだけれど、残酷な事件を思い浮かべるときに、「ああ、こいつ、死ねばいいんだ」ってよく思う。明日もそう思っているのかは、わからないけれど、今はそう思ってる。僕は、人を傷つけずに生きていけるほど上手に生きているわけではないのだけれど、万人を愛せるほど出来た人間でもない。