幸せな人

ぐらすみたすみず

悔悟の連続の日々の中でもコップ一杯の幸せで人は生きて行けるものだと、いつかの少年が言っていた。中学校の卒業文集の中で。そして、僕も時々思う、この世界で一番幸せな人を。何を手に入れても、感じられない感情を。
ねえ、冬の空に生まれたら、僕もそんな風になれたかな、と。だから、このささやかな人生を褒めておくれ。僕の知らない僕について、いくつでも。たかだか僕。されど僕なのだと。