雨、逃げ出したい気分で

土砂降りの雨は本当に落ち着く。全てを洗い流してくれるような気がするから。それに、大地の奥まで潤いを与えて、水をまいたりしなくても飢えを感じたりはしないだろうと思えるから。雨の日、景色は奇麗になる。洗い流してくれる。心の奥まで。そして潤いを与えてくれる。照りつけるであろうこれからの太陽に備えて。雨という事実が、非日常的なものに感じる。望んで実現出来るものでも、望まなければ回避できるものでもない。けれど、やってきた事実だけが嬉しいと思いたい。嬉しいと思えるだけ雨に落ち着きを感じられる事、それを幸せに感じなくては。雨で増水した濁流に飲み込まれたり、照り続けた太陽に飢えを感じ干からびた事の無い僕だけが感じられる残酷な幸せ。トイをつたう水、雨がアスファルトに跳ね返るしぶき、増水したどぶ川の美しさ、バケツに溜まっていく水、雨上がりの匂いを待ち続けられること、灰色の空。それをたまらなく好きだと思う残酷な僕。